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2007.03.25 AM10:00
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今日は朝からフランスの漫画情報誌のインタビューでした。
マンガ・ゲームズ」「コーヨット」「ウェブ・BD」「アクチュア・BD」「ウェブOTAKU」「ジャパン・バイブス」等フランスで著名な漫画情報雑誌・情報サイトの記者さんと、パリブックフェアーの会場のなにやらVIPルームみたいな部屋で3時間程お話させていただきました。
申し訳ないことに全員の記者さんのお名前をお聞きできなかったのですが、頂いた質問とその回答をまとめてダイジェストでお届けします(ほとんどメモを取らなかったんであんまり正確じゃないです)。


記)まずはフランスに来て頂いてありがとうございます。
実際にフランスの漫画ファンと触れ合った感想はどうですか?また、フランスに来る前とは どこか印象が変わった所はありますか?


筒井)ファンの皆さんにお会いできたことは、本当に嬉しかったです! 僕はここに来る前までは、フランス人は皆気難しい皮肉屋で、よそ者に冷たく商売人はいつも無愛想だ、などという酷い偏見を持っていました(笑) でも実際に会ってみると全然そんなことはなくて、皆さん僕の作品をとても素直に楽しんで頂いたようで、会う人は親切な方ばかりでした。 本当に来て良かったな、と感じています

paris 記)筒井さんは「ダズハント」「リセット」「マンホール」と、既に三作品をフランスで出版されてます。 海外版の出版は、通常はもっとキャリアの長い作家が出すものですが、何故筒井さんの作品がフランスで受け入れられたのでしょうか?

筒井)うーん…、何故でしょう?僕がフランスの読者に聞きたいくらいです(笑) 僕は日本では決してベストセラーの作家ではないですし、何故フランスで認められたのか、 本当に不思議です。

記)筒井さんの作品では、低所得の貧困層の人々など、奇麗とは言えない日本人の姿を見ることが出来ます。 そういった人たちを描くのは何故ですか?

筒井)僕は普段、作品を通して読者に「こうあるべきだ」という説教をしたいのではなく、「僕が考える今の日本の姿はきっとこんな感じじゃないかと思うんだが、あなたはどう思うだろうか?」という問いかけをしているつもりで作品を描いています。 ですので、奇麗ではない日本の姿もありのまま作品の中に取り入れることにしています。 ただ、僕の様な漫画家は決して珍しい部類ではなく、例えば日本の裏社会を描いた漫画は日本では非常に多く売られています。

paris 記)筒井さんは作品の中で、犯罪者に対する復讐や社会から疎外された人を描くことが多いと思いますが、そういったテーマを常に考えているのですか?

筒井)はい、人間が生活している社会の中で、どうしてもその中心から疎外されてしまう人は出てしまいますし、中には法を犯す人もいると思います。 マンガの世界でどんなにヒーローが悪役を倒しても、犯罪者はどのような社会にあっても生まれてしまう。 では社会は犯罪者をどのように扱うべきなのか、また、どう許すのか、というようなことはいつも考えます。

記)「ダズハント」の絵はラフな感じでトーンがコンピュターで出来ていますが、どうしてこういう風に描こうと思ったのですか?

筒井)「ダズハント」は発表当時、パソコンのモニター上で見ることを前提にしていましたので、 多少絵が荒くても内容が伝われば十分かと思ってあのような形になっています。後に出版されることが分かっていれば、しっかりペンで描いたのですが(笑)

paris 記)「リセット」ではゲームが恐ろしいものとして描かれていますが、何故ゲームを テーマに作品を描こうと思ったのですか?また、筒井さんはゲームは悪いものだと感 じていますか?

筒井)まず、ゲームをテーマに作品を描こうと思ったのは、数年前アメリカのE3というゲームショーで「Half Life2」というゲーム作品のデモンストレーション映像を見たことがきっかけです。 従来のゲーム映像とは一線を画したリアルな映像に誰もが驚いたと思いますが、僕も非常に驚かされました。 そしてその時、ゲームの映像世界に対してプラスの可能性を感じると同時に、ある種の不安を抱きました。恐ろしい、とも感じたのです。 そんな風に感じているのは自分だけだろうか、と思って「リセット」を描きましたが、勿論僕は決してゲームを否定するものではありませんし、闇雲な表現規制にも反対です。 僕自身ゲームは大好きです!

記)筒井さんはペシミストですか?

筒井)うーん、そうかも知れません(笑)

記)「マンホール」ではグロテスクな描写が毎回のように続きましたが、あのような場面 を描く時の心境はどうでしたか?

筒井)非常に楽しいです。僕はああいう場面を描くのが大好きで、気が付くとつい嬉しく なって笑顔で描いていたりします。あまり人に見られたくはない姿ですが(笑)

paris 記)これまでの三作品を通して、筒井さんの絵柄はとても上達しているように見えますが、ご自身ではどのように感じていますか?

筒井)褒めて頂いてありがとうございます。
僕も連載を通して画力は結構上がったんじゃないかと思いますが、最も重要なのは表現したい事柄を正しく読者に伝えることであって、技術の向上は第一の課題とは考えていません。 大切なのは、その作品で何を感じて欲しいのか、という部分だと思います。 作品の方向性によっては今まで培って来た画風を捨ててしまうのも構わないですし、時には写真を使ったっていいんじゃないかとさえ、僕は考えています。


記)最後に、フランスのマンガファンに向けて一言お願いします。

筒井)以前からフランスの方々が非常に熱心に、日本のマンガを愛読されているという話は聞いていました。それはとても嬉しいことですが、しばしば不安に感じることもあります。 僕たち日本の漫画家が、本当にそれほどまでに価値のあるものを作り出せているのか、という不安です。
ただ、もしも数年後、フランスでのマンガブームがすっかり醒めてしまって、日本のマンガが見向きもされなくなってしまったとしても「自分はこの作品に出会えて良かった」と読んだ方に思って頂ける様な作品を作っていきたいと思います。 今日は本当にありがとうございました。




…改めて文章に書き起こしてみると、もの凄く偉そうですね(汗
僕如きが、なんだか日本の漫画家代表面して語っちゃってますが、その辺はまあ、あんまり気にせんといて下さい。 不快に思われた方はすみません。
それにしても記者の皆さんが出してくる質問は、僕の作品をとても良く読み込んで下さっているのだなあ、ということが良く分かるものばかりでした。 その点でもなんだか無性に嬉しかったですね。 僕のインタビューは、記者の皆さんにはなかなか評判が良かったみたいですよ!
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ちなみにこちらの写真は雑誌「コーヨット」さんからいただいた見本誌ですが、表紙にデスノートのイラストがどーんと載ってます。 今フランスで最も注目されている作品は、デスノートかも知れません。
まだ現地では2巻までしか発売されていないので「実はこのあとLがね…」などとうっかりネタバレ話をしそうになりました(笑)

2007.03.25 PM02:00

午後からは再びブックフェアー会場でサイン会です。
ブックフェアーでのサイン会は今回で最後ということで、今日はイベントをずっとサポートして下さったKi-oon社のスタッフの皆さんをご紹介しましょう。
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左からフレッドさん、ステファニーさん、ベルジーニさんです。
Ki-oon社は前述のアメッドさんとセシールさんと合わせて総勢5人のスタッフで運営されているそうです。 それにしてもKi-oonの女性スタッフは皆さん若くてきれいな人ばかりですね。 イベント中、しょっちゅうナンパされてたみたいです(笑)
最後にスタッフの皆さんに似顔絵付きのサインをプレゼントしたら、とても喜んでくれました!

2007.03.25 PM06:00
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ブックフェアーのサイン会が無事終わったところで、スタッフの皆さんとシャンゼリゼ通りで食事に行きました。 噂に聞いていた通り、やっぱりきれいですね。ちょっとした商店の建物なんかが凄く絵になります。
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ついでに凱旋門に登ったりしました。 凱旋門はかなり開けた広場の中心に建っているので周りの建物と比べた大きさが分かり難いのですが、実物を見て「うお、こんなデカイ建物だったのか!」 とまたびっくりです。高さ50mですから、そりゃもうデカイです。
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螺旋階段をひたすら登って屋上に。 屋上からは、エッフェル塔が見えます。あいにくちょっと天気が優れなかったので若干ボケてますが、凱旋門からの眺めは最高でしたよ!

…うん、ここにきてやっと普通のパリ旅行記っぽくなってきました(笑)

そんなわけで、続きはまた明日!
明日はルーブル美術館行ってきます。お楽しみに!
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